文教速報デジタル版

BUNKYO DIGITAL

文教速報デジタル版

BUNKYO DIGITAL
抗てんかん薬「カルバマゼピン」による薬疹の種類別リスク因子を発見 HLAアレルと強く関連(理研)

理化学研究所(理研)の莚田泰誠らの共同研究グループは、抗てんかん薬「カルバマゼピン」によって生じる重症薬疹のうちスティーブンス・ジョンソン症候群(SJS)や中毒性表皮壊死融解症(TEN)には、特定のHLAアレルである「HLA-B*15:11」、それ以外の薬疹には「HLA-A*31:01」が強く関連することを発見した。

カルバマゼピンは世界中でてんかんなどの治療薬として使われている。だが薬疹発症率が最高13%と非常に高く、大きな問題だ。その症状もさまざま、最悪の場合、死に至る可能性もある。

共同研究グループは、カルバマゼピンの服用後SJSまたはTENを生じた患者31人、薬剤性過敏症候群(DIHS)を生じた73人、播種状紅斑丘疹型薬疹(MPE)を生じた17人、多形紅斑(EM)を生じた10人の計131人及び日本人一般集団2823人のゲノムDNAを用いて、ゲノムワイド関連解析(GWAS)とHLA遺伝子の解析を行った。

2つのグループでGWASを行い、メタ解析でデータを統合した結果、ゲノムワイド有意水準を満たすHLA領域を決定。HLAアレル情報を用いて詳細な解析を行い、カルバマゼピンによる薬疹とHLA-A*31:01が関係していると判明した。

薬疹の種類別にHLA解析を行うと、HLA-A*31:01はカルバマゼピンによるDIHS、MPE、EMと関連していたが、SJSとTENは結びつきがなかった。一方、HLA-B*15:11はSJS及びTENとつながりがあった。

研究グループは「研究で同定したHLA-B*15:11とHLA-A*31:01を組み合わせた遺伝子検査により、カルバマゼピンの治療開始前でも薬疹の発症リスクを予測することができる。てんかん治療薬の種類を替えることで副作用を回避したり、薬疹のタイプ別に早い段階で対処したりできる」と評している。