東北大学のスパトラーヒランピンヨーパート特任研究員らは、東京医科歯科大学などとの共同研究の成果を発表した。ケミカルリサイクルのために開発された手法で、分解などが進んだナノプラスチックのモデルの作製に成功した。
近年、マイクロプラスチックによる環境問題が注目されている。プラスチックの分解が進めば、ナノプラスチックとなる。生体への影響を把握するためには、ナノプラスチックモデルが必要とされてきた。だが、これまでモデルの作製方法は検討されておらず、明確でないという課題があった。
モデル生成のための研究では高温・高圧酸化分解をプラスチックのポリプロピレンに用いたところ、高温で処理した場合のみナノサイズの粒子が得られると分かった。また、ナノプラスチックの細胞膜傷害性を調べたところ、プラスチック濃度が高くなると細胞膜が傷つけられ、細胞死が誘導されると判明している。
研究グループは「ポリプロピレン以外のプラスチックを用いることによって、さまざまな種類の分解ナノプラスチックによる生体影響評価に活用できる」としている。