九州⼤学の楊井伸浩准教授らの研究グループは、応⽤上重要なガラス材料中での動的核編極法(triplet-DNP)において過去最⾼値となる約1万4000倍の核磁気共鳴分光法(NMR)の感度向上を達成した。
これまでNMRの感度を実⽤レベルまで向上させるには単結晶を⽤いて偏極源となる⾊素分⼦の配向を揃える必要があった。だが、単結晶材料には観測対象のプローブ分⼦をドープできないためNMRやMRIへの応⽤は困難とされていた。
研究では有機⾊素分⼦の電⼦構造に着⽬した分⼦開発により、ガラス材料中においてランダム配向であっても実⽤レベルのNMR増感が得られることを初めて実証。また量⼦化学計算による理論解析を⾏うことで、理想的な⾊素分⼦の設計指針を構築することにも成功している。
楊井准教授は「今回の研究成果で⾮常に重要な点は、実⽤的な⾼核偏極化のためにどのように偏極源をデザインすれば良いかという⽅針が明らかになったこと」とし、「これは実験と理論の研究者が密に連携することで初めて可能となった」と説明している。