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慢性腎臓病による認知機能低下のメカニズム 東京医歯大研究チームが解明

東京医科歯科大学の内田信一教授らの研究チームは、これまで不明だった慢性腎臓病(CKD)による認知機能低下のメカニズムの一端を解明した。

大規模な観察研究で認知症の原因として10%程度がCKDで説明できるとされているが、その過程は分かっていなかった。

研究グループは血液脳関門(BBB)構成たんぱく質群を基質に持つたんぱく質分解酵素(MMP)に着目。特に不溶性プロテオーム解析でもヒットしたMMPに注目した。

実験で使用したCKDマウスの血清投与下に培養したbEnd.3細胞では、ゼラチンザイモグラフィーを行うとMMP2発現量の活性が高められた。蛍光免疫染色では、CKDマウス脳の血管内皮細胞のMMP2が増加していることが分かった。

bEND.3細胞で尿素投与により低下したクロ―ディン5のたんぱく質発現量は、MMP阻害薬投与で改善することが確認された。これらの結果から、尿素によるMMP2の活性化に伴うBBB構成たんぱく質群の分解がCKDにおけるBBB透過性亢進に関与していることが明らかになった。