長崎大学の由井克之特命教授らの研究グループは、マラリアの免疫応答により産出されるインターロイキン27がマラリア原虫に対する感染抵抗性の獲得とその維持を制御することを明らかにした。今後のワクチン開発や治療法開発への応用が期待されている。
インフルエンザなどの感染症では1度かかると、抵抗性を獲得する。だが、マラリアではそれを得にくいと考えられ、何度も患うこともある。その仕組みは十分に明らかになっていなかった。
研究グループは、マラリア感染初期に免疫細胞により産出される「インターロイキン27」に着目。これに対する抗体を投与することで、慢性期において強力な感染防御免疫が長期間持続すると判明している。
その仕組みを調査すると、ユニークな2種類の記憶リンパ球が誘導されていた。これらリンパ球は、長期間生存する免疫記憶細胞の性格とマラリア原虫などを攻撃する機能があり、マラリア再感染防御に重要な役割を担っていると考えられる。
研究グループは「研究は、免疫記憶を抑制するインターロイキン27の仕組みを明らかにし、今後のワクチン開発や、感染に対する抵抗性増強などの治療法開発において、インターロインキン27が新たな標的となり得ることを明らかにした」と話している。