東京大学の藤原弘和特任研究員らのグループは24日、世界で初めて二酸化ハフニウム(HfO₂)系強誘電体が絶縁破壊を起こす様子を電極越しに可視化することに成功した。これは半導体製品の高性能化、低コスト化にも貢献できるという。
HfO₂系強誘電体は薄膜でも十分な強誘電性を持ち、高密度集積が可能という特徴がある。そのため、大容量強誘電体メモリに実装可能な材料として注目を集めている。一方で、HfO₂系強誘電体は耐久性が低いという課題があった。
研究では、電気計測システムを実装したレーザー励起光電子顕微鏡(Laser-PEEM)を用いることで、HfO₂系強誘電体キャパシタの絶縁破壊過程を、電極を透かして観察することに成功。この技術により、これまではデバイスを加工しなければ観察できなかったデバイス内部の不良原因を非破壊で観察できるようになるという。
研究グループは「今回の実験研究によって、より正確な絶縁破壊過程モデルが明らかとなり、強誘電体メモリデバイスの高信頼性化が加速するだろう」と推測している。