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マルチタスクを省エネでこなす脳の仕組み 阪大の研究Gが解明 

大阪大学の渡邉慶准教授らの研究グループは24日、大脳皮質の前頭連合野の神経細胞(ニューロン)が、複雑な課題における順序だった情報の活性化と不活性化を担っていることを発見した。マルチタスクを省エネでこなす脳の仕組みを解明したもの。〝マルチなタスクの情報は「寝かせておいて」必要なタイミングで順番に活性化〟しているという。成果は遂行機能障害のメカニズム解明にもつながりそうだ。

「心の働きを可能にする脳活動はどこにあるのか」。この問いの答えを求めて、サルを用いて脳を解析する実験を行った。

研究グループは、5つの中から正解を選ぶと報酬が与えられる実験を実施。課題を遂行中のサルのニューロンの動きを調べた。

その結果、前頭連合野で正解の位置情報は、必要なタイミングで活性化されること。使っていない情報は不活性化しているが、いつでも取り出せる状態にあることを発見した。これらから前頭連合野のニューロンが中心となってマルチタスクをこなしていると分かった。

研究グループは「高次脳機能障害のひとつである遂行機能障害のメカニズムの解明につながる」とコメントしている。