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身体運動を実行している仕組みは何なのか? シナプス前抑制にあると判明 アスリートのトレーニングに応用(精神神経医療センター)

国立精神・神経医療研究センター(NCNP)の関和彦モデル動物開発研究部長らの研究グループは23日、運動するときに発生する手足の感覚信号が「シナプス前抑制」という仕組みで調整されており、この調節によって運動が巧みにコントロールされていることを明らかにしたと発表している。

優れたスポーツ選手は膨大な感覚情報をもとに、運動をコントロールする能力に長けていると考えられる。だが、私たちの脳が膨大な感覚信号をうまく処理しながら、身体運動を実行している仕組みは現在でもよくわかっていない。

研究グループはシナプス前抑制を測定して、電位評価の逆行性電位(ADV)を計測した。ADVが大きいとき、シナプス前抑制も大きいといえるため、これが運動中に変化するならば、サルが運動の局面に応じた感覚情報の調整をしているといえる。その結果、感覚神経から脊髄への信号伝達が、運動の局面に応じてシナプス前抑制により変化していると分かった。

このシナプス前抑制の変化は運動の結果として生じているのではなく、運動する際の脳からの伝達信号によって引き起こされているということも判明している。

研究グループは「アスリートのトレーニングなどにシナプス前抑制による感覚増強や減弱の考えを取り入れた訓練方法を開発することにより、これまでは実現できないレベルの競技力向上などが見込まれる」としている。