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北大研究Gが海氷と珪藻類の関係調査「時間が経つほど細胞サイズが大きくなる」

北海道大学の松野孝平助教らの研究グループは、南極海東インド洋区における海氷変動が、珪藻(けいそう)類の種組成に影響を与えないが、優占種の生活史を変え得ることを明らかにした。融解から日数が経つほど、細胞サイズが大きくなることが分かっている。

珪藻類は海洋生態系を支える1次生産者としての役割を果たしているとされる。だが、近年の気候変動により海氷が溶けたことで、どのような影響を受けているのかは知られていないのが現状であった。

研究グループは2018年12月~19年2月に南極海の東インド洋区に設けた観測点で海水を採取して分析を行った。

解析では海氷融解日から調査日までの日数も考慮したが、有意な関係性は検出されなかった。これは融解日が変化しても生活する種の割合が変化しないことを意味している。また、細胞サイズと環境の関係を解析した結果、経った日数との関係が示された。60日~90日に急激に小型化してその後サイズが大きくなることが分かった。

研究グループは「1次生産を支える植物プランクトンと環境との関係の理解が進むことで、気候変動による海洋生態系への影響がより正しく理解され、将来にわたる海洋生態系の維持や水産資源の持続的利用につながることが期待される」と説明した。