九州大学の溝上展也教授らの研究グループは、カンボジア全域を対象とする分析を実施。地域住民が積極的に携わる森林管理の形態「住民参加型森林管理」地域の内外で森林面積や質に差があるかを検証した。「より分析を重ねて、対策の効果を高めていく必要がある」と指摘している。
研究では、カンボジア内に2010年までに設立されたおよそ400カ所の住民参加型森林管理実施地域を対象とした。カンボジア全土の森林面積および質に関する約30年間分のデータセットと住民参加型森林管理に関する情報などで検証した。
その結果、住民参加型森林管理の実施地域内では地域外と比べて、森林面積の減少量と森林の質の劣化量が少ないことが分かった。これは、住民参加型森林管理の実施により、森林面積の減少だけでなく、森林劣化を抑制できるといえる。
一方で、課題も見えてきた。住民参加型森林管理を実施している場所でも、森林面積と質は低下していた。また、新しくできた住民参加型森林管理実施地域ほど森林の減少や劣化の抑制効果が低いことも判明している。
研究グループは「開始した年によって効果が異なる理由は不明。今後は効果が異なる要因を特定し、よりその効果を高める方策を検討する必要がある」と指摘している。