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海洋の微小原生生物「ミノリサ属」を新たに3種発見 これまでの存在認識は一種のみ(筑波大)

筑波大学の白鳥峻志助教は、これまで1種しか知られていなかった海洋の微小原生生物「ミノリサ属」の新種を3種発見して記載したと発表した。また、アメーバ類の突起である仮足もはじめて確認したという。ミノリサ属内の多様性が明らかになったことで、より正確な同定やその生態的役割の解析につながる可能性がある。

ミノリサ属は、最小の捕食者とも言われる微小な単細胞性真核生物(原生生物)の一群。世界各地の海洋に分布し、特に沿岸域に多く生息するため、海洋生態系において重要な役割を果たしていると考えられている。ミノリサ属は「Minorisa minuta」しか確認されていなかった。

研究では2016~17年にかけて、英虞湾、伊勢湾、東京湾、宮古島から採集した海水からミノリサ属原生生物の培養株5株の分離に成功。すべての培養株で初めて仮足を確認することができた。

そしてすべての培養株の解析を行ったところ、M.minutaと同じ塩基配列は1種のみで、ほかは異なっていた。残りのうち2種は同じ塩基配列をもっていた。白鳥助教は細胞の大きさなどから「M. fusiformis」「M. magna」「M. megafusiformis」と名付けた。

白鳥教授は「今後、今回得られた培養株をもとに、海洋における存在量が豊富なミノリサ属の生態的役割の解析や、クロララクニオン藻類の葉緑体獲得に伴う進化過程の解明ができると期待できる」とコメントしている。