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ウイルス由来の遺伝子が脳のカビ防御に機能 医歯大研究Gが初解明

東京医科歯科大学の石野史敏名誉教授らの研究グループは、機能未知のレトロウイルス由来のRTL9/SIRH10遺伝子が、哺乳類の脳におけるカビ(真菌)感染防御に重要な機能を果たしていることをつきとめた。レトロウイルス由来の遺伝子情報を解析することで初めて明らかになったという。

研究グループは、脳にカビ(真菌)の細胞壁であるzymosanを注入すると、20~30分後にはRTL9の局在と一致したところにシグナルが観察され、60 分後には分解され消失していた。この分解反応はRtl9 ノックアウト(KO)マウスでは起こらないことから、RTL9がzymosanの分解反応に必須の機能をしていることを確認できた。

これらの結果から、RTL9タンパク質は脳のミクログリア細胞に存在し、カビに対する自然免疫反応に重要な役割を果たす遺伝子であると結論づけた。

研究グループは「ヒトおよび哺乳類のゲノムには、機能未知のウイルス由来の遺伝子候補がまだ多数残っている。ヒトを遺伝子から理解するためには、この未知領域へ踏み込んでいく必要があることを、今回の研究は示した」と評価している。