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イネをストレスから守る「ケイ素」 岡山大教授らが蓄積担う輸送体を世界発発見

岡山大学の馬建鋒教授のグループは19日、同大学の宮地孝明研究教授のグループと共同で、稲のケイ素蓄積を担う輸送体の分子機構を世界で初めて明らかにした。英国の科学雑誌「ネイチャーコミュニケーションズ」に発表している。

ケイ素は植物の有用元素として知られ、さまざまなストレスを軽減することによって、植物の健全な生育に貢献するミネラル。その有益な効果を受けるには、葉や茎に蓄積させることが大事であるとされていたが、これまで蓄積に関するメカニズムは分かっていなかった。

研究チームは稲の特定の細胞へのケイ素の蓄積に必要な輸送体タンパク質SIET4を発見し、稲の正常な成熟には適切なケイ素の蓄えが不可欠であることを明らかにした。

この輸送体はケイ素が蓄積する葉の表面の細胞とケイ化機動細胞の隣の細胞にあり、葉の表面やケイ化機動細胞へとケイ素を排出する役割を持つ。SIET4遺伝子を破壊した稲は、土やケイ素を添加した水分で栽培した場合にだけ成長が著しく抑制された。

通常はケイ素が溜まらない葉の内部の葉肉細胞にケイ素が溜まってしまい、それによりさまざまなストレス応答に関わる数百の遺伝子の発現が誘導され、この異常で不必要なストレス応答によって養成が著しく抑制されると分かった。

馬教授は「これまでケイ素は土壌ミネラルの中で唯一過剰障害の出ない元素であるとされてきたが、今回の発見によりこの輸送体が存在することからであると分かった。10年以上を費やした研究が今後の作物の生産性と安全性の向上に役立てば光栄だ」とコメントしている。