広島大学の片岡雅知研究員らのグループは、体外で作られる立体的な人の脳組織(ヒト脳オルガノイド)を動物の脳に移植する研究で生じる倫理問題を体系化した。
研究では、ヒト脳オルガノイドの動物移植が提起する倫理問題を包括的に分析するための枠組みを提示。ここでは、動物移植の一連の過程を複数の段階に分けるとともに、それぞれの段階における課題と移植を受けた動物に関連する問題を分けた。これによって、どの段階でどのような倫理問題が生じうるのかを整理することができる。
グループは細胞提供者から細胞を提供してもらう「細胞収集の段階」では、ドナーからの同意取得が必要となる。そして、「移植の段階」では、ヒト脳オルガノイドが意識を持つ場合とかどうかで倫理問題が変化すると考察している。
研究グループは「意識の問題の解明が進んでいない以上、今後、より成熟した脳オルガノイドを移植する場合には特に、慎重な対応が求められる」と指摘している。