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新元素導入したニオブシリサイド基合金への影響を発見 産業界への応用に期待(東大)

東京大学の松永紗英助教らは、ケー・エヌ・ビー・プラス合同会社と共同で新元素を導入したニオブシリサイド基合金の高温での相安定性と力学特性への影響を実験において発見した。これにより同合金の開発加速が期待されている。

ニオブシリサイド基合金は、より燃費の良い航空機エンジンや発電用ガスタービンのタービンブレードに使用するための次世代耐熱材料として1990年代から研究されてきた。だが、ベースとなるニオブ(Nb)とケイ素(Si)に混ぜる添加元素についての研究はほとんど進められてこなかった。

今回、有力な添加元素として期待されるものの実験例が極めて少ない、ジルコニウム(Zr)、タンタル(Ta)、アルミニウム(Al)をそれぞれNbとSiに対して添加した。Nb-Si-Zr、Nb-Si-Ta、Nb-Si-Alの3つについて、高温での相安定性と室温における力学特性への影響について調査を実施。

Zr添加により室温での力学特性を飛躍的に向上できること、組織制御によりシリサイド相を大きな島状にすることで、添加元素に関わらずすべての系で力学特性が飛躍的に向上することを明らかにしている。

研究チームは「多元系合金の開発の基礎となるベース3元型の実験データを広く世界に提供することで、第一原理計算などのコンピューターシミュレーションを使用した合金設計に利用し、優れた特性を持つ合金をより早く見つけ出すことが可能になる」としている。