京都府立医科大学の井上健助教らの研究グループは、貧血のある重症大動脈弁狭窄症患者のうち9割強に見られる「消化管出血性病変」に対して大動脈弁のカテーテル治療を行うと、消化管出血性病変の数や大きさが改善することを明らかにした。
研究では重症大動脈弁狭窄症時の血管異形成の実態を知るため、経カテーテル大動脈弁留置術(TAVR)治療を計画されている貧血のある重症大動脈弁狭窄症の患者50人に、血液検査および消化管内視鏡検査を行い、臨床経過とともに解析した。
その結果、重症大動脈弁狭窄症の約9割の患者に一人あたり平均12個の血管異形成が確認された。小腸が最も多く、およそ7割の患者に血管異形成を確認。
また、重症大動脈弁狭窄症の患者の約半数に貧血があるとされているが、重症大動脈弁狭窄症10%の患者は、自覚症状がないにも関わらず血管異形成からの出血が確認された。血管異形成からの出血が貧血の主要要因である可能性もある。
研究グループは「重症大動脈弁狭窄症は消化管出血を合併する場合があり、大動脈弁狭窄症の治療を行うことで心機能だけでなく消化管出血も改善することを、すべての医師のみならず一般の方にも理解して頂ければ幸いだ」と述べている。