京都大学の阪本卓也教授らの研究チームは18日、ミリ波レーダーを用いてチンパンジーの瞬時心拍間隔を、接触せずに測定することに成功したと発表した。今後は国内外の飼育動物などの健康状態をモニタリングするための道具として使われていく可能性が高いという。
研究チームは、心拍成分に干渉して精度低下を招く呼吸成分を効果的に抑圧しながら心拍の高調波成分のみを選択的に抽出する最適なフィルタ設定法を提案。人を対象とした予備実験で性能を確認したうえで、チンパンジーに対して適用して瞬時心拍間隔の推定を試みた。
計測は健康診断中のチンパンジー(麻酔下)を対象に約0.7メートル離れた距離から実施した。心電計の電極をチンパンジーの手足に装着し、ミリ波レーダーによる計測精度の検証を行っている。その結果、チンパンジーの瞬時心拍間隔の計測では、二乗平均平方根誤差で2.55ミリ秒と極めて高い精度を達成できることが明らかになった。
阪本教授は「今後もさまざまな動物種への電波計測の応用が拓く未来を夢見て、研究を続けていきたい」とコメントしている。