日本電信電話㈱(NTT)は三菱重工業㈱と特許専用のAI翻訳業務に関する共同実証実験を実施、外国特許出願にかかる稼働を大幅に削減できる可能性を確認した。特許関連文書による翻訳には時間がかかり、課題となっている。AIを用いてその時間を短縮する狙いがある。
実験はそれぞれ役割分担を行った。NTTは独自に開発した日英特許対訳文コーパスの提供と翻訳結果の評価、三菱重工は特許明細書の評価用データの提供と翻訳結果を担当した。
実験の結果、三菱重工とNTT両社知的財産部門の特許出願業務を行う社員による順位付けでは本特許専用翻訳、汎用翻訳、既存特許専用翻訳の平均順位はそれぞれ1.5、2.0、1.9位となった。本特許専門翻訳がもっとも高い順位を獲得している。
また、プロの翻訳家によって事前に作成された正解翻訳との類似性を用いた自動評価(100点満点)を行うと、汎用翻訳38.6点、既存特許専門翻訳44.0点であったのに対し、本特許専門翻訳は57.5点と大幅な向上が確認された。これらの結果は特許専用AI自動翻訳の活用により外国特許出願時の翻訳に要する工数を大幅に削減できる可能性を示している。
両社は「上記サービスの提供を受けて知財部門における実業務への適用検証を進めるとともに、更なる競争力向上に向けた事業課題の解決に関する取り組みを進めていく」としている。