慶應義塾大学の栗原俊英准教授らの研究グループは16日、名古屋工業大学の神取秀樹教授らが創出した「キメラロドプシン」という光センサータンパク質を用い、光遺伝学を利用した高感度な視覚再生効果及び網膜変性の保護効果を世界で初めてマウスで確認したと発表した。
研究では、網膜色素変性のモデルマウス(rd1)に対して、キメラロドプシンをコードする遺伝子を搭載したAAVベクターを硝子体内へ投与し治療する実験を行ったところ、無治療マウスでは光応答が無いのに対し、治療マウスでは強い光はもちろん、街灯のある夜道程度の弱い光でも反応が確認されました
さらに、同じウイルスベクターを網膜下投与で視細胞に発現させたところ、無治療マウスに対し治療したマウスでは網膜変性の進行が抑制される効果があった。
研究チームは「この成果は今後、視覚再生遺伝子治療の実用化に応用されることが期待され、同研究室では臨床応用に向けてさらなる研究開発を進めていく」としている。