海洋研究開発機構(JAMSTEC)の山崎哲研究員らは17日、2018年の12月と2019年の9月に、北半球と南半球で1回ずつ発生した成層圏突然昇温現象(SSW)の数日前に、先駆的に大気状態の不確実さを示す「揺らぎ」が起こることを発見したと発表している。
研究チームはJAMSTECが独自に作成を進めているアンサンブル再解析データ「ALERA」のデータセットを用いて、2018年12月にかけて北半球で発生したSSW(北半球SSW)と19年9月に南半球で発生したSSW(南半球SSW)について、揺らぎの発生を調査した。
それによると、北半球SSWは18年12月30日~19年1月2日に、南半球SSWは19年9月2日~19日くらいにかけて昇温が発生していることが分かった。それぞれのSSWで実際の昇温が始まる数日前に、スプレッドが増幅し、大きな揺らぎが発生していることが判明。これらは、成層圏中部の実際の気圧配置に対して極渦(低気圧)と中緯度高気圧のちょうど間で大きくなっていた。
研究チームは、「大気アンサンブル再解析データに包含されている有益な情報が効果的に活用されることが望まれる」と話している。