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順天堂大准教授らが「やせ型」女性の多面的背景検証 やせの健康課題に個別の情報提供の必要性

順天堂大学スポーツ健康科学部・大学院スポーツ健康科学研究科の室伏由佳准教授、同大学院医学研究科代謝内分泌内科学・スポートロジーセンターの田村好史先任准教授らの共同研究グループは、日本の若いやせた女性のなかでダイエット経験のあるグループとないグループでは、出生時体重、自身のボディイメージや体重への認識、運動や食習慣、摂食態度、メディアから受ける美の影響や、性格特性等が異なることを明らかにした。これまでに田村先任准教授らにより、やせた若年女性は将来の糖尿病リスクが高い可能性が明らかになるなど、若い女性の〝やせ〟は社会課題として注目されつつあるが、この研究ではその〝やせ〟に至る背景に迫った。

この研究成果は、「やせていれば健康」という誤った認識を解消する健康啓発には、各個人に最適化されたアプローチが必要ということを示している。この研究論文はオープンアクセスジャーナルFrontiers in Public Health(Journal Impact Factor:6.431)に6月2日付で公開された。

室伏准教授らの研究成果は次のとおり。

1. ダイエット経験のない若いやせた女性の特徴

ダイエット経験のないグループは、出生時体重がダイエット経験のあるグループよりも軽く、体重が減りやすいと回答する割合が多いことから、潜在的なやせ体質である可能性が考えられる。肥満だと感じる体重はダイエット経験のあるグループよりも約2.5Kg重い数値を申告した。体重や食事量を増やすことに対しては、比較的抵抗が無いような認識がみられた。運動習慣を有する割合は、小学生時代から現在まで、ダイエット経験のあるグループよりも15~20%程度少ないことが分かった。運動習慣を持たないと回答したグループは、運動嫌いやこれまで実施機会がなかったとする理由が多い結果だった。ストレス時には、「食欲が減少する」割合がダイエット経験のあるグループより多くみられた。性格因子のうち「開放性」の得点が高いため興味関心が外へ向けられる特徴があることから、新しい経験や健康行動に対して積極性がある可能性が考えられる。しかし、現在の運動習慣や食習習慣に着目すると、あまり行動に移せていない傾向がありギャップがみられた。少食で運動不足の場合、糖尿病等、将来の健康リスクが高くなると考えられるために、適切な運動や食習慣を得られるような情報提供の必要性が示唆された。

2. ダイエット経験のある若いやせた女性の特徴

ダイエット経験のあるグループは、体重が落ちにくく、ストレスや疲れを感じたとき食事量が増える傾向がみられた。肥満だと感じる体重はダイエット経験のないグループよりも約2.5Kg軽い数値を申告した。体重増加や食事量の増加に対する抵抗感が強い傾向にあった。

運動習慣は、小学生時代から現在まで、ダイエット経験のないグループよりも高い割合だった。現在の運動習慣を持つ理由のうち「美容と肥満解消のために運動を行う」と回答した割合が高い結果だった。

摂食態度を測定する質問紙の得点やメディアによる美に関する情報の内在化傾向がダイエット経験のないグループと比較して高く、ボディイメージの歪みといった主観的認知への影響が生じやすい可能性が考えられる。性格5因子のうち、「勤勉性」の得点が高いため、責任感が強く、自制心を持ち忠実に行動し、目標達成に向けて努力する傾向が考えられる。痩身行動や思考のあるやせた女性に特化した情報提供の必要性が示唆された。