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糖質β-アラビノフラノシドを精密に合成 慶応大研究チームが新手法開発

慶應義塾大学の高橋大介准教授らの研究チームは13日、単糖が鎖状に連結した分子である「糖鎖」の中でも、五員環糖の一つであるβ-アラビノフラノシドに着目し、芳香族ボロン酸を用いることで、効率的な配糖化が行える有機化学的新手法の開発に成功したと発表した。

研究グループは、開発してきたBMAD反応をアラビノフラノースに適用することで、従来にない立体特異的β-Arbf合成法の開発に成功しました。この反応は、一部の酵素反応で見られる特異なSNi型機構で進行する特長があり、これを利用することでこれまで非常に困難であったアラビノフラノースのβ立体選択性を完全に制御することが可能になった。

研究では、反応の位置選択性の予測モデルの構築を、計算化学を用いて検討した。その結果、BMAD反応における位置選択性が、用いる基質に依存することを見出し、その選択性を事前に予測可能であることを発見。

一例として、ガラクトース 3,4-ジオールに対する反応では、C2位の立体化学がR配置の糖供与体1を用いた場合、4位選択的に進行するのに対し、S配置の糖供与体2を用いた場合には、3位選択的に反応が進行することを計算化学で予測し、実験化学により実証している。

さらに、ガラクトース 3,4-ジオールに対するBMAD反応の反応条件を再精査した結果、MeCN溶媒中、ボロン酸触媒4を用いると、本反応の位置選択性が逆転することを初めて見出し、配糖化位置の異なる2つの位置異性体を効率的に作り分けることに成功した。

最後にこの手法を、チモシーグラスの花粉より単離された、抗アレルギー活性を示すアラビノガラクタン部分糖鎖合成に応用することで、同手法の有用性を明らかにした。