名古屋市立大学の奥津光晴准教授らの研究チームは13日、骨格筋量の減少を抑制する新たな分子機構を解明したと発表している。筋量を維持する分子メカニズムの理解と予防医学や健康科学の分野への貢献が期待できそうだ。
加齢や慢性疾患は酸化ストレスを増大し骨格筋量の減少(筋萎縮)を誘導する。筋萎縮は、身体活動量の低下による廃用性症候群の発症や行動範囲の制限による生活の質(QOL)の低下などに関与することから、筋萎縮を発症する分子メカニズムの解明と効果的な予防法の確立は重要な課題だ。
研究では、炎症性サイトカインであるインターロイキン 1β(IL-1β)の一過性の刺激は、骨格筋の抗酸化物質の発現と分泌を促進することで酸化ストレスを軽減し、酸化ストレスの増大による筋萎縮を抑制することを初めて解明した。
研究チームは「筋量維持に対するIL-1βの新たな生理学的役割を立証した本研究成果は、骨格筋生物学におけるこれまでの常識を覆す新しい概念です。また、本研究成果は予防医学や健康科学への応用が期待できることから社会的意義も大きいと考えられる」と説明している。