日本大学の荒巻光利教授らによる研究グループは13日、らせん状にねじれたレーザー「光渦」を使用することで測定可能な速度の方向に対する制約を克服したと発表した。この測定法は「光渦レーザー吸収分光法」と名付けられ、光渦を用いることで光の進行方向に対して垂直な粒子流も測定可能となった。物質とプラズマの境界における現象解明が期待される。
光と原子との相互作用におけるドップラー効果は、光の波面と原子の運動方向との関係によって決まる。従来のプラズマ計測では、このドップラー効果を用いて原子の速度を測定していたが、平面波を用いた光源では光が進む方向の速度しか検出できなかった。
研究では,光渦を用いた「光渦吸収分光法」を開発し,この課題の解決に取り組んだ。光渦はらせん状の等位相面を持つため一様な横方向のプラズマ流と等位相面との関係が場所によって異なる。
この特性を利用して、光渦と原子との相互作用におけるドップラー効果の空間変化から、横方向の流れ速度を得ることに成功した。研究でこの技術を用いて、約50から150m/s の範囲のガス流速に対して高精度な測定が可能であることを実証した。
研究グループは「今後、この手法をプラズマと物質の境界領域での粒子輸送観察に適用する予定だ」と話している。