理化学研究所(理研)の海老塚昇研究員らの研究チームは、国宝「油滴天目茶碗」の青紫色の光彩を油滴の反射と釉薬の2次元回折格子構造によって説明した。製作当時の釉薬の配合などを解明する糸口になる可能性もある。
研究チームは、陶芸家の長江惣吉氏らの論文から光彩が見られる油滴部分が裏面に金属鉄の反射層を持つ2次元の正弦波の形をしたシワ構造であると推測。釉薬表面のシワと金属鉄膜から成る裏面に反射層を持つ2次元回折格子と仮定すると、照明の反射光の周囲に見られる青紫色の光彩を説明できることを明らかにした。
研究チームは「実物を測定して曜変の光彩の原理を検証することにより、油滴天目や曜変天目茶碗の鑑賞のために最適な照明を提案できるとともに、製作当時の釉薬の配合や焼成方法を解明する糸口になる」とコメントしている。