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細胞に高い圧力をかけて培養 東京医大研究G「3次元の組織体を作製できる」

東京医科大学の中村隆助教らの研究グループは11日、低酸素環境で周期的に細胞に高い圧力をかけて細胞を培養すると、細胞と細胞、細胞と細胞外マトリックスおよび、細胞外マトリックス同士が強く結合することで、3次元の組織体を作製できることを明らかにしました。人工移植を用いない材料として、血管やその他疾患への利用が期待されている。

研究では、移植材料として赤ちゃんの誕生とともに処分される臍帯血管の細胞を用いて、先天性心疾患の患者に使える人工血管の開発を目的とした。血管は生体内では常に血圧がかかっている。特に子宮内が低酸素環境であることから、細胞から組織が作られるときには、低酸素環境で周期的に圧力がかかることが重要なのではないかと着想した。

独自に開発した培養装置によって、細胞のみから人工血管を短期間に作製できる可能性が示された。この培養法を用いると、細胞本来の機能を引き出すことで、細胞-細胞、細胞-生体由来の細胞外マトリックス、細胞外マトリックスの3次元的な結合が短期間で構築されることが明らかとなっている。

研究グループは「今後の研究でさらに検証する必要がありますが、人工素材を用いない移植材料として、血管やその他の疾患への利用が期待される」としている。