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ワクチン接種後の抗体は「防御能力がタイプ別で異なる」 大阪公立大准教授らが判明

大阪公立大学の安木真世准教授らの研究グループ12日、抗体産生がピークとなる新型コロナワクチン接種後17日~28日の血液を採取し、産生された抗体のレパートリーを1人ずつ調べた。その結果、抗体がワクチン抗原である新型コロナウイルスのスパイクタンパク質のどの部分を標的とするかにより、主に3つのタイプに分類されることが判明した。

研究では、ファイザー製BNT162b2ワクチン接種者16名の血清を用いて各血清のウイルス防御における主要標的領域を決定し、さらに変異株に対する防御能力との関係性を評価した。

実験は哺乳類細胞を用いたウイルス感染実験を基盤として行った。まず、血清に人工合成し

たRBDまたはNTDタンパク質を吸着させることで、Wuhan株に対する防御能力の変化から抗体のレパートリーを調査した。

その結果、3血清は合成NTDタンパク質吸着時に、13血清は合成RBDタンパク質吸着時に、もう一方のタンパク質吸着時と比較してウイルスへの防御能力が減少。したがって、3血清はNTDが、13血清ではRBDがそれぞれウイルス防御における主要標的であることが分かった。

さらに、RBDを主要標的とする13血清のうち、4血清は合成NTDタンパク質吸着時の防御能力がタンパク質非吸着時と比べて高かったことから、感染増強抗体を持つことが示されている。

次に、新型コロナウイルスの各変異株(アルファ、ベータ、ガンマ、デルタ、オミクロン)

に対する防御能力を、抗体レパートリーごとに分析。3タイプとも、Wuhan株に対する防御能力と比較して、アルファ株では同程度、ベータ株とオミクロン株では低下、ガンマ株では増加することが判明した。

一方、デルタ株ではRBDを主要標的とする2タイプ(感染増強抗体あり/なし)では、防御能力はWuhan株のそれと同程度であるのに対して、NTDを主要標的とするタイプでは低下することが確認された。

以上の結果から、NTDを主要標的とする血清では、Wuhan株と比較してデルタ株への防御能力が低いことが分かった。さらに感染増強抗体の有無は変異株への防御能力に影響しないことが示唆されている。

研究グループは、「本研究で用いた血清数は16であるため、結果は限定的であり、解釈を一般化することは困難。また、抗体産生量がピークとなる1点における結果のため、時間経過とともにどのような変化が認められるのか定かではない。今後、これら課題について明らかにしていくことで、個人の抗体レパートリーと変異株に対する防御能力との関係性の詳細を解明することが重要であるだろう」と説明している。