国立天文台(NAOJ)は10日、すばる望遠鏡と市民天文学プロジェクトによる研究成果を発表した。天文台と市民天文学者の協力で、衝突している銀河では星の形成などが活発になっていることが明らかになったという。
宇宙は赤っぽい色の楕円銀河、青い色の渦巻銀河、そして形が崩れた銀河など、さまざまな種類で満ち溢れている。このような多様性には、銀河の衝突や合体が大きく関係していると考えられてきたが、その観測例は多くなく理解は深まっていない。
そこでNAOJは、すばる望遠鏡の超広視野主焦点カメラ「Hyper Suprime-Cam(HSC)」で撮影した画像から、合体中の銀河を市民が探すイベント「GALAXY CRUISE」を2019年に開催した。
すると2年半で、200万件を超える分類の結果が集まった。それらを用いて研究を進めたところ衝突をしている銀河は、星の形成が活発になっていることや銀河の中心にあるブラックホールの活動性も高まっていることが明らかになった。
国立天文台の田中賢幸准教授は、「HSCの画質の高さと、市民天文学者の協力という両輪があって、今までの研究よりも衝突・合体銀河の良いサンプルが得られた」と述べている。