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九大助教らが脳梗塞後の機能回復に成功 新たな神経疾患治療法開発へ期待

九州大学の松田泰斗助教らの研究グループは11日、ミクログリア/マクロファージから神経細胞への直接分化転換により、脳梗塞モデルマウスで神経機能を回復させることに成功したと発表した。失われたニューロンを補充できる新しい神経疾患治療法を開発する一助となる可能性もある。

局所脳虚血処置のMCAOモデルのマウスにおいて、脳虚血後7日の脳領域「線条体」内に、ニューロンの消失が顕著であった梗塞中心部にミクログリア/マクロファージの集積を認めた。

そこで、ニューロン誘導性転写因子を発現させる自己複製能力を欠いた遺伝子組み換えレンチウイルス粒子を梗塞巣に投与。すると、ミクログリア/マクロファージからiN細胞への分化転換が誘導され、神経回路に組み込まれることが分かった。

また、このような新生ニューロンが補充されることで脳虚血後8週でのニューロン損失領域が非治療群と比較して減少していた。

さらにNeuroD1を用いてiN細胞を除去すると得られた回復効果が無効となった。ダイレクトリプログラミングによって申請されたニューロンが直接寄与して脳梗塞後の機能を回復できることが明らかになっている。

研究グループは今後について「研究では脳虚血後7日に治療介入を行ったが、それ以降の慢性期でも治療効果がえられるかみてみたい」と意気込んだ。