横浜市立大学の日暮琢磨講師らの研究グループは10日、消化器がんの新規診断に関してCOVID―19の流行と共にどのように変化するか、流行前から2021年までの期間で解析した消化器がんの診断数、がんの進行度を示す病期(Stage)、診断契機を初めて報告した。
研究グループは以前、消化器がんの新規診断に関してCOVID―19が流行する前と流行期(2020年)での変化を調べた結果、胃がん、大腸がん、特に早期胃がんと早期大腸がんの診断数が有意に減少し、大腸がんに関しては進行したStageで発見される例が増加したことを公表している。今回、その継続研究としてワクチンが普及しはじめ、徐々に社会活動が活発になってきた2021年まで観察期間を延ばした結果を新たに発表した。
研究では横浜市立大学附属病院と国立病院機構横浜医療センターの2病院で、2017~21年までの5年間で消化器がんと診断された全患者6453人を調査。
解析の結果、大腸がんに関してはCOVID―19流行前の水準へ戻っていた。しかし、胃がんは依然として減少しており、特に早期胃がんの診断数が減少したままであった。病期については大腸がんと胃がんで進行したStageで発見される例が増加している。
研究グループは、「これは、大腸がんスクリーニングとしては便潜血検査という侵襲の少ない検査があるため、診断数が回復してきているのに対し、早期胃がんスクリーニングとしては侵襲の大きな胃カメラ検査しかないことが影響しているのではないか」と分析している。