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「草」と「木」の境目は? 北大研究Gが新しい植物の分類則を発見

北海道大学の佐藤太裕教授らの研究グループは11日、草と木の体を支える仕組みの違いに基づく明快で新しい植物の分類則を発見した。構造力学の理論をベースに「内部水分による張力」と「実現可能な最大高さ」の関係を定式化した。

植物は乾燥状態では体がたわむが、水分が内部に蓄えられるとピンと張る。研究グループはこの現象について草本植物のような円筒形の構造では内部に十分な水が入ることによって生じる圧力が、植物を上部に引っ張り上げる「張力」に還元されることに着目。構造力学の理論をベースに「内部水分による張力」と「実現可能な最大高さ」の関係を定式化した。

その結果、張力と最大高さの関係は「内部の水分がもたらす張力は、到達可能な最大高さを著しく向上させる」「張力が植物自体の重さを上回ると、到達可能な最大高さが自重による倒状に支配されなくなる」の大きく2点であることが分かった。

「最大高さが自重による倒伏に支配されなくなる」について、研究グループは実際の植物 76種における重量や高さを計測した先行研究や試行的な調査を行った。すると、全種において、張力が自重の影響を上回り、自重で倒れる可能性を完全に回避していることが示唆された。

これは、草本植物の高さは自重による倒伏に支配されておらず、その結果として植物の体の大きさを支配するルールが木本植物と異なっているということを明確に示す結果であるといえる。

研究グループは「本研究は、人工物を対象に築き上げられてきた工学理論のさらなる可能性を提示し、植物学分野において実験・観察で蓄積されてきた様々な知見を双方向的に生かすことができる、新たな学術体系の礎になる」とコメントした。