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化学品合成を革新するグリーン反応 東大研究Gが実現

東京大学の研究グループは6日、カルボニル基a位で行う炭素―炭素結合生成反応を入手容易で安定な単価水素原料を用いて廃棄物の少ない方法で効率的に実現した。脱炭素社会への貢献も期待されている。

研究者らは原料として脱離基を持たない炭素―炭素二重結合をもつ炭化水素化合物(アルケン)を用いるアルキル化反応の検討を行い、金属を含まない有機光触媒である2,4,5,6―テトラキス(9H―カルバゾール―9-イル)イソフタロニトリル(4CzIPN)とリチウムチオフェノキシド(LiSPh)触媒を用いることで、青色光照射下マロン酸エステルなどの活性メチレン化合物と1-デゼンなどの不活性アルケンによるアルキル化反応が室温で円滑に進行することを見出した。

この反応は低触媒量で進行し、不活性アルケンに対する活性メチレン化合物の量も小過剰で良いことから非常に効率的である。また、用いることのできる原料も幅広く、立体的に嵩高いアルケンやさまざまな官能基をもつアルケン、通常液相反応では使用が困難な常温常圧でガス状のアルケンを用いる反応でも高収率で目的物を得ることができた。

さらに医薬品やその中間体の合成の検討を行い、医薬品であるブコロームとバルプロ酸ナトリウムを効率的に合成することができた。この反応は連続フロー合成にも適用可能であり、光反応チューブを用いた連続的反応を効率的に行ことができた。

研究グループは「医薬品や農薬、機能性化学品合成の効率化による脱炭素社会への貢献が期待される」とコメントしている。