慶應義塾大学の勝俣良紀専任講師らは、外来での心臓リハビリテーションができないような心不全患者におけるフィジカルトレーニング支援・教育プログラム(SaMD)の有効性及び安全性を評価するための探索的医師主導治験を開始した。
心臓リハビリテーションにおける外来での運動療法は、心不全患者の10%以下にしか行われていない。したがって、通常の診療で行っている通院での運動の実践とは別の方法で、患者の在宅での運動を可視化し、かつ心不全の改善に有効な運動支援の方法が求められている。
研究グループは、心不全患者の運動を支援するアプリケーション「運動支援アプリ」を開発。患者がスマートウォッチを常時装着して、そこから歩数や脈拍数などの運動の状況の情報をアプリが取得。体重や生活の質のアンケート情報と合わせて、本人に最適な運動を支援するものとなる。共同で開発作業をしている㈱グレースイメージングより提供される。
研究グループは「今回の治験によって、医療機器としての『運動支援アプリ』の承認に向けた開発を加速させる。現在、心不全患者の90%以上に、保険医療に即した適切な運動療法を届けられていない状況がある。新しい医療機器を開発することで、そのような心不全患者がより豊かな生活を送れるような社会の実現が期待できる」とコメントしている。