広島大学の大平真裕助教らの研究グループは、広島臨床腫瘍外科研究グループ(HiSCO)のデータベースを用いて、肝細胞がん肝切除再発症例のうち、肝移植可能再発症例に対する再肝切除の予後不良因子を明らかにした。研究結果は、治療ガイドラインの定まっていない肝細胞がん再発に対する標準治療を策定する上で有用な情報となりそうだ。
HiSCOで行われた肝細胞がんに対する肝切除2244例を対象として初回肝切除 1758例と複数回肝切除486例の成績を解析した。
5年無再発生存率(RFS)は複数回肝切除で23.5%、初回肝切除の34.7%より低い結果であったが、5 年全生存率(OS)はほぼ同等。さらに複数回肝切除を2回目と3回以上の2群に分けて解析したが、OS、RFSともに差はなかった。この結果は、複数回肝切除が安全に施行可能であることを示唆する。
次に486例の再肝切除症例のうち肝移植可能再発をした202例を対象として、再肝切除の予後不良因子を検討した。すると、因子1個以下と比較して有意に低下していた。従って、この因子が2個以上ある場合は肝移植、1個以下であれば肝切除が有効であると考えられる。
研究グループは「今後の肝細胞がん再発症例に対する標準治療ガイドライン作成に有益な情報になることが期待される」としている。