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「長い記憶」を有する河川流量に対する新評価方法の構築 JAISTなどの研究チームが成功

北陸先端科学技術大学院大学(JAIST)の吉岡秀和准教授らの研究チームは5日、洪水などの影響がゆっくりと減衰する「長い記憶」を有する河川の流量を分析するための新しい数理的方法論の構築に成功したと発表した。洪水などの影響について、より実データと整合する理論に基づく分析を行うことが可能になったといえそうだ。様々な水資源利用計画の策定に貢献する可能性もある。

研究グループは、フレキシブルなリスク指標である数学理念「オーリッチリスク」に基づき、「長い記憶」を有する河川流量の分析が可能な理論を構築した。特に、不確実性下における流量の平均値や分散などの統計量の評価や、情報が失われる速さの指標「自己相関関数」に基づく洪水などの評価が可能であると示した点が重要だ。

例えば、気候変動による不確実性の大きさがどの程度であるかを見積もることができれば、河川流量の各種統計量の上・下限がどの程度になるか、さらにはその際に洪水や渇水の期間はどの程度継続するかなどを分析することができる。

また、オーリッチリスクそのものに関する数理構造を詳細に数学解析している。数学解析によって、どのような河川に対してどのようなオーリッチリスクを適用することが可能または適切かという応用上も重要な基準を見出した。

加えて、オーリッチリスクは手計算で算出することが難しいため、独自の数値計算アルゴリズムの提案も行った。

研究チームは「手取川周辺地域が極端気象に遭遇することが懸念される。継続的なデータ分析とモデリングにより、環境と人類の持続的な共存を導く研究がさらに進展するだろう」とコメントしている。