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骨粗鬆症などへの応用に期待 慶応大などの研究チームが新たにTypeS血管を骨髄で発見 

慶應義塾大学の久保田義顕教授は4日、他大学との共同研究で、骨の血管構造にこれまで知られてこなかったサブタイプがあることを発見し、骨の発生などに血管が深く関わっていることを明らかにしたと発表した。骨粗鬆症などの治療への応用が期待されている。

研究では血管の全体像を可視化するために、免疫染色の実験操作などを改変して血管の全体像を把握することに成功した。この技術を用いて骨髄の血管を観察したところユニークな骨髄血管「TypeS血管」を発見。

細胞亜集団の動態を解析できる「シングルセルトランスクリプトーム解析」をしたところ、他の血管と明らかに異なるパターンを示して、特に通常は人の体に最も豊富に含まれるコラーゲン「Ⅰ型コラーゲン」の発現が顕著であることを見出した。

次に血管細胞特異的にⅠ型コラーゲンを欠失させるノックアウトマウスを作成したところ、骨だけが柔らかくなることが判明。さらに血管の発生などに必須のたんぱく質「VEGE」の受容体の遺伝子改変マウスによりTypeSを欠けさせたところ、血液幹細胞が減少することを見つけている。

研究チームは「将来的には研究で見出した分子メカニズムに関する解析を進めることによって、寝たきり老人の原因として社会問題になっている、骨粗鬆症治療などへの応用が期待される」としている。