九州大学の加河茂美主幹教授らの研究グループは、船舶の出発地と目的地、それらを繋ぐ航路を決定する運航会社のオペレーションが二酸化炭素(CO2)排出量の削減に向けた政策のカギになると考え、コンテナ船の運航履歴に関するビッグデータを用いて、海運会社のCO2排出量を推計して、変化要因を分析した。
研究では主要な国際海運会社7社に焦点を当て、2018~20年において相対的に排出量が大きかった10航路を特定。シンガポールからスエズ運河の航路が最も排出量が増加傾向にあると分かった。
グループはCO2の排出量の変化を距離、船の大きさ、輸送ネットワーク、平均燃費の4要因に分解する手法をあみ出した。どのような要因が排出量に影響しているかを会社ごとに明らかにした。
結果として、デンマークの「Maersk社」が輸送経路や距離の見直しを計画的に行うことで効果的なCO2削減につながることを示した。これは、特に輸送ネットワーク改善による削減策の重要性を示しており、国際海運ネットワークに対するより効果的な方策の重要性を示唆している。
研究グループは「国際海運の脱炭素化は、国際海運だけでなく世界のあらゆる産業にとって大きな影響を及ぼす。海運会社はどういったネットワークを目指すべきか分析していきたい」と述べている。