東北大学の熊谷悠教授らの研究グループは5日、太陽電池材料の探求を行った。その結果、1―15族化合物のアルカリニクトゲン化合物が適切なバンドギャップを有し、さらに軽い有効質量と高い光吸収係数を持つため、太陽電池材料として有望であることを発見した。中でもリン化ナトリウム(Nap)が最適な材料としている。
研究グループは、人類最初の固体太陽電池材料であるセレンに注目。この材料は150年緒歴史があるがその効率は悪い。そこでバンドギャップをより最適な値に調整するため、16 族のセレンを15族のニクトゲンに置き換え、足りない電子を補うために、格子間にアルカリ金属を導入する、従来とは異なる「エレメントミューテーション法」を考案して適用した。
その結果、アルカリニクトゲン化合物が、適切なバンドギャップを有し、さらに軽い有効質量と高い光吸収係数を持ち、太陽電池材料として有望であることを、第一原理計算を用いて発見した。
そして、いくつかの物質が、最適なバンドギャップのみならず、低いキャリア有効質量と高い光吸収係数を示し、太陽電池材料として有望であることが判明。その中でも無害で安価な元素で構成されているNaPに関してより詳細な計算を行ったところ、ドーピングを行うことで、p型とn型の双方の半導体が作製できることが分かった。
研究グループは「今後はリン化ナトリウムを中心に、太陽電池材料の観点でのより精密な性能評価が重要。リン化ナトリウムは安価かつ無害な元素で構成されているため実用化に至れば社会に及ぼす影響は極めて大きく、今後は実験グループと連携してこれを進めていく」と説明している。