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理研などの研究G スーパーエンハンサーを再定義することで新発見

理化学研究所(理研)の梅原崇史チームリーダーらの共同研究チームは4日、がん遺伝子などの発現を強く活性化する「スーパーエンハンサー」を、ヒストンH4の高アセチル化状態を指標として再定義することで見出した。ヒストンはDNAを巻き付けることで長大なDNAを核内に収納するタンパク質。

がんなどの疾患細胞では特定の遺伝子の発現が暴走した状態が見られるが、これは細胞増殖などに関わる遺伝子の制御領域がスーパーエンハンサーを形成することが一因とされている。スーパーエンハンサーはこれまで、がん細胞で高発現しているBRD4などのタンパク質や、エピゲノムの構成タンパク質であるヒストンH3の27番目のリシン残基のアセチル化(H3K27ac)が濃縮しているエピゲノムの領域として見いだされてきました。

今回、共同研究グループは、ヒトのがん細胞株である膠芽腫細胞を用いて、ヒストンH4の5番目と8番目のリシン残基のアセチル化(H4K5acK8ac)を指標としてスーパーエンハンサーを再定義することにより、がんなどの疾患細胞で特異的に機能している遺伝子を同定する新手法を開発した。

研究グループは「さまざまな疾患細胞に存在するスーパーエンハンサーを今回開発した手法で再定義することによって、これまで見いだされていなかった疾患制御遺伝子の発見や疾患状態の精密な診断技術の開発につながることが期待される」と説明している。