鳥取大学の花島慎弥教授らの研究グループは3日、大阪大学などとの共同研究により質二重層中のリン脂質が外側から内側へとひっくり返る現象(フリップフロップ)を、経時的に観測することに初めて成功したと発表している。
研究では、スフィンゴミエリンまたはホスファチジルコリンとコレステロールからできた脂質膜を調整して、リン脂質のフリップフロップを観察してその速度を算出した。その結果、半減期がホスファチジルコリンでは半日、スフィンゴミエリンでは数日ほどかかることが判明。これまで考えられていたよりもかなり遅いことが明らかになった。
研究グループは「今回の手法にはまだいくつか問題点がある」と説明。「今後の研究でそれを解決できれば、フリッパーゼやスクランブラーゼなどの酵素を媒介するリン脂質の細胞膜上でのフリップフロップ速度を正確に求められるかもしれない」としている。