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非アルコール性脂肪肝炎の解明に手がかり 徳島大教授が発見

徳島大学大学院医歯薬学研究部の清水真祐子講師らの研究チームは3日、脳で機能することが知られている「神経栄養因子BDNF」の発現低下が、末梢臓器である肝臓の疾患発症に関与することを発見したと発表した。研究結果は非アルコール性脂肪肝炎(NASH)の治療法開発に役立つものとしている。

研究グループは脳機能の低下とNASHの発症が関係すると仮定し、BDNF発現低下マウスにおいて肝臓の病理組織学的解析と遺伝子発現変化を調べることのできる「トランスクリプトーム解析」を中心に行って検証した。

その結果、BDNF発現低下マウスにおいてヒトのNASHの臨床学的特徴のすべてが観察されることを見出すことに成功。具体的には、肥満、高血糖、高インスリン血症、肝臓における脂肪蓄積、炎症および線維化が見つかった。また、肝外病変として脂肪組織における炎症像も確認している。

さらに、トランスクリプトームの解析により、脂質代謝障害や好中球の浸潤、酸化ストレスの高まりなどを示す挙動を確認した。これらの結果から、BDNF発現低下マウスが自己免疫性肝炎や薬剤性肝障害などの他の肝疾患ではなくNASHを発症していることが分かる。

次に研究チームは、BDNFの肝臓と過食への作用を分けるため、BDNF発現低下マウスに摂食制限を施し、BDNFの肝臓への直接的作用について調べた。その結果、BDNF発現低下マウスでは摂食制限によって体重増加や血糖値上昇が抑制されているにもかかわらず、肝臓において好中球を含む炎症細胞の浸潤が起こることを発見している。

これらの結果が、BDNFが肥満に存在しない仕組みを介して、直接肝臓に影響しうることを示しているという。研究チームは「NASHの発症メカニズムへの理解や、その治療法の開発に役立つものと考えられる」としている。