京都大学の谷村あゆみ特定助教らの研究グループは2日、滋賀県の土壌から新種の油脂酵母2種を発見したと発表した。そのうちの1種は油を蓄積する性質にちなみ「Hannaella oleicumulans」、もう1種は東近江市から分離したことから「Hannaella higashiohmiensis」と命名された。分離技術を追求することで、酵母を用いた油脂生産などへの発展にも寄与しそうだ。
研究グループは、滋賀県の土壌に着目。県内の様々な場所から土壌を採取し、酵母の生育に特化した培地を用いて分離を行った。その結果、2種類のHannaella属に属する酵母を取得することができた。
DNA解析および生理性状試験の結果も、新種であることを支持するものであった。培養試験を行ったところ、それらは全て油脂酵母であることも分かっている。2種とも、キシロースを取り込むことができるため、稲わらなどの植物系バイオマスの糖化液などを油脂生産の原料にできる可能性もある。
谷村あゆみ特定助教は「油脂酵母の多様性を知る一助となるような種が分離できたと考えている。今後は、油脂生産性が高い株、特定の脂肪酸のみを生産する株など、より実用性の高い菌株を分離したい」とコメントしている。