三重大学の立花義裕教授らの研究チームは29日、過去65年間にわたる観測値の統計解析から2010年以降の南北に傾斜した構造を持つ高気圧(南北傾斜高気圧)の発生や、偏西風蛇行が北日本の猛暑頻発と冷夏不発生の一員であることを解明したと発表した。
研究チームは、南北傾斜高気圧が近年強まっている一因は、ユーラシア大陸北東部および北半球全体で、偏西風が近年蛇行傾向にあるからだと指摘。特にユーラシア大陸北東部では、北に凸の形で蛇行し、上空に高気圧が発生する。この上空の高気圧と下層の高気圧が結合し、南北傾斜高気圧が強まるという。
近年の海陸温度コントラストの増大と偏西風蛇行の激化に伴い、2010年以降、南北傾斜高気圧の発生が増加した。2010年頃に北半球規模での気候のレジームシフトが発生し、猛暑が連続して発生していると考えられるようだ。
研究チームは「温暖化と気候変化との関係に関する新たな展開により、異常気象頻発化時代を生き抜くヒントが得られる」としている。