物質・材料研究機構(NIMS)、㈱竹中工務店、淡路マテリア㈱は、Fe-Mn-Si系合金を用いた長周期・長時間地震動対策に有効なブレース型FMS合金制振ダンパーを改良。中日ビル(名古屋市中区)に初適用したと26日に発表した。施設の自由な設計に新ダンパーが貢献している。
3者は一般的な鋼材の約10倍の疲労耐久性を有するFMS合金、およびその特長を生かし、複数回の大地震や長周期・長時間地震動に有効で事業継続性向上に寄与する制振ダンパーを共同開発して2014年からプロジェクト適用を進めてきた。
従来技術では困難であったFMS合金どうしの溶接技術を確立したことより、2019年に開発したブレース型FMS合金制振ダンパーをベースに、地震エネルギーを吸収するダンパー芯材部分を、平鋼を用いる従来型の矩形から、平鋼を溶接して組み立てた十字形にすることができた。
この結果、従来型と比較し、改良したダンパーでは1基当たり約2倍の地震エネルギー吸収性能を確保した。この性能向上により、設置するダンパーの総数を減らすことができるため、より自由度の高い建築デザインなどが可能となり、超高層建物への積極的な適用が可能となった。
同ビルは今年の7月に完成しており、開発したダンパーを各階に設置した。エネルギー吸収性能の拡大によりダンパー本数が半減し、設計計画の自由度向上に貢献しているという。