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まるで連なったソーセージ? 金沢大などの研究Gが動態観察に初成功、新たなコロナ治療法につながる可能性も

まるで連なったソーセージ?-。金沢大学の安藤敏夫特任教授や千葉大学の西田紀貴教授などの共同研究グループは26日、新型コロナウイルス「SARS―CoV―2」がもつタンパク質の一つである「Open Reading Frame 6(ORF6)」が形成した円形や線状の凝集体の動態観察に初めて成功したと発表した。まるでソーセージのごとく、形や線状のプロトフィブリル間の境目がなく成熟したアミロイド線維を形成していた。という。この研究成果は、COVID―19の新たな治療法などにつながる可能性がある。

研究では、全長ORF6タンパク質をナノスケールで観察して構造動態を明らかにすることを目的とした。結果として、ORF6は細胞内においてアミロイド線維を形成することで,COVID-19の肺病理やアミロイド関連の合併症発症に関連している可能性を見出すことに成功した。

実際に、動態をナノメートル程度で可視化できる「高速原子間力顕微鏡(高速AFM)」による直接観察では、ORF6の多くがいくくつか結合した重合体「オリゴマー」として存在していることが分かった。連なったソーセージのように、円形や線上のプロトフィブリル間の境目なく成熟したアミロイド線維を形成していた。

オリゴマー間に働く分子間力を調べるため、脂肪族アルコールなどの化合物を添加したところ、疎水性相互作用によってこれらは連なっていることが判明。また、別の実験により、細胞外部に存在したORF6は肺がん細胞に取り込まれ、細胞質の核膜近傍に集積することが明らかとなった。その結果、免疫応答などを調節するタンパク質「IL-6」の発現が促進された。

研究グループは「ORF6を標的としたCOVID―19における新たな治療法や創薬につながることが期待される」とコメントした。