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新型コロナの増殖を抑制 医歯大研究Gが阻害剤を開発

東京医科歯科大学の玉村啓和教授らの研究グループは26日、国際医療研究センター研究所などとの共同研究で、新型コロナウイルス「SARS―CoV―2」の増殖を抑制できる新規メインプロテアーゼ阻害剤を創製したと発表した。

2019年末に中国・武漢で発生した「COVID―19」は、世界中に甚大な災禍をもたらした。ファイザーの薬剤である「メインプロテアーゼ阻害剤」などが開発され、臨床で使用されている。だが、緊急に開発されたため、必ずしも最適ではない。より有効な薬の開発が望まれていることもあり、研究が行われている。

研究グループは2020年春に、巨大なタンパク質から構成タンパク質に切断する酵素Mproに着目。創薬研究をスタートした。この酵素を阻害できればウイルスの複製を防ぐことができることから、COVID―19に対して有望なターゲットとなっている。

研究では、2022年にグループが報告したSARS―CoVのMpro阻害剤をもとにして、メインプロアテーゼ阻害剤の分子構造と組み合わせて、ハイブリッド化してより有用なMpro阻害剤を創製した。

結果として、メインプロアテーゼよりも約50倍高い抗ウイルス活性を有する阻害剤TKB245やTKB248が創出。また、祖先株だけでなくオミクロン株にも有効性が示された。今回創出したTKB245やTKB248は、SARS―CoV―2のMpro阻害剤としてCOVID―19の有用な治療薬候補とされる。

研究グループは「今回得られた知見は、さらに薬効、体内動態面等のプロファイルが向上したCOVID―19治療薬の創出へつながる可能性がある」と表明している。