芝浦工業大学の渡邉宣夫教授らの研究チームは26日、体内の細胞に存在する「動く繊毛」が衝突や振動、滑り方などの機械刺激をタンパク質「TRP11」で感じ、繊毛の運動パターンを変化させていることを明らかにした。この研究は疾患の原因解明や治療法開発にもつながる可能性がある。
研究では、単細胞生物のクラミドモナスを用いて動く繊毛が、力や変形という機械刺激を感じるか調べた。その結果、衝突や振動、滑り方などさまざまなタイプの刺激をTRP11で感じ、それに応じて運動パターンが変化していることが明らかになった。
繊毛という微細な装置に、汎用性が高いセンサーと多機能な運動装置が備わっているということは生物の精緻さを考える上で興味深い発見という。
研究グループは「繊毛とタンパク質の基礎的な機能を明らかにすることにより、それら疾患の原因解明や治療法開発につながることが期待される」とコメントしている。