広島大学の橋本浩一教授らの研究グループは27日、マウスの顔面からの触覚信号が大脳皮質に送られた後で、間脳と中脳の境目に領域を介して小脳に伝達されたことを見出した。触覚の信号処理がもつ機能的な多様性の一端を明らかにする手がかりを与えるものとして注目されている。
研究ではひげ領域の体性感覚信号を三叉神経核に中継する神経束を電気刺激し、小脳プルキンエ細胞で発生する神経活動を計測する「single―unit recording」法により確認した。
マウスの橋核に神経間の信号伝達を阻害する作用がある「musⅽimоl」を投与すると、プルキンエ細胞への感覚信号伝達が著しく阻害されることを認めた上で、同様の実験を間脳―中脳領域に対して行った。結果、橋核の場合と同様に、間脳―中脳領域に直接へのmusⅽimоl注入によりプルキンエ細胞への感覚信号伝達が妨げられた。
また別の実験を行い、大脳皮質の光照射により、感覚信号伝達が妨害されるか研究したところ、プルキンエ細胞への信号伝達が抑制されることを発見している。
今後の展開について、研究グループは「近年注目されている、大脳―小脳連関の高次機能への関与の解明について貢献が期待される」としている。