大阪大学の八木健教授らの研究グループは22日、他チームとの共同研究により神経細胞に特異的に発現する膜タンパク室、クラスター型プロトカドへリン(Pcdh)で同じタンパク質同士の相互作用である「ホモフィリック相互作用」を神経細胞において可視化した。自閉症や統合失調症をさらに理解する手助けとなる可能性もある。
これまでPcdhがホモフィリック相互作用することは株化培養細胞の凝縮観察やタンパク質の生物物理学的測定によって明らかになっていたが、Pcdhが本来発現する神経細胞にいて、いつ・どこでホモフィデリック相互作用をしているのか知る方法はなかった。
今回研究グループは、FRETを利用したプローブを作製することで、Pcdhが相互作用している様子を神経細胞でリアルタイムに観察。これにより、Pcdhホモフィリック相互作用の胴体を解明し、シナプスでは稀にしかPcdhがホモフィリック相互作用しないということを明らかにした。
研究グループは「Pcdhの遺伝子変異は自閉症や統合失調症に関連することも知られていることから、これらの疾患を理解する手助けとなる可能性も開けた」としている。