福井大学と筑波大学の研究グループは22日、好酸球性副鼻腔炎(蓄膿症)の病態の原因の1つとしてFusobacterium nucleatum菌の現象が疾患と関連していることを見出したと発表した。蓄膿症は国内に200万人の患者がいるといわれており、このうち1%に相当する2万人が難治性。この疾患の病態はいまだ不明で、病態解明に向けて貴重な一歩が踏み出された。
好酸球性副鼻腔炎は、鼻の中に多数の鼻腔ポリープができることによって鼻づまりと嗅覚低下が起きる病気。蓄膿(ちくのう)症と呼ばれている。近年、日本では増加傾向にあるとされている。
研究では鼻副鼻腔の手術を受けた143人を対象に鼻の中のぬぐい液を採取して細菌由来のDNAを抽出して次世代シークエンサーにて解析。加えて、細菌由来代謝産物を用いてヒト気管上皮細胞に対する反応を検証した。
その結果、難治性である好酸球性副鼻腔炎は非好酸球性の副鼻腔炎とは異なるマイクロバイオームであることが判明した。また、好酸球性副鼻腔炎の鼻の中ではFusobacterium nucleatum菌が減少しており、その菌が産出するリポ多糖(LPS)の減少が原因の1つであると世界で初めて発見。鼻腔マイクロバイオームを構成する細菌種やその代謝産物が変化することにより、好酸球性副鼻腔炎を発症する可能性があると指摘している。
研究グループは今後について、「鼻腔マイクロバイオームを改善させることによる好酸球性副鼻腔炎の治療効果を検証し、生活習慣の予防やプロバイオティクスなど新規治療薬の開発へとつなげたい」としている。